『心』

(筆者:生出 拓郎)

“五臓六腑”という言葉を聞いたことがありますか?
中医学では内臓の事を臓腑(ぞうふ)と言います。
引き続き肝・心・脾・肺・腎の五臓の働きをみていきたいと思います。
“五臓”シリーズ第2弾の今回は『心(しん)』です。
他の臓腑に比べると、現代医学の心臓に近い働きがあり、『心臓+こころ』のような臓腑です。

1.
心は血脈を主る(しんはけつみゃくをつかさどる)→ 心臓のポンプ作用により、胸中を巡る宗気とともに、血を全身に行きわたらせる働きです。この働きにより、全ての組織・器官は血の栄養を受ける事ができます。
 そのため心の働きが衰えると、動悸、息切れなどの症状が現れます。
  

      

2.
心は神明を主る(しんはしんめいをつかさどる)→ 神とは感情・思考・意識・判断など、全ての精神活動をさす言葉です。したがって、心が充実していると、精神状態が穏やかで、さらに活発な思考ができる状態になります。心に異常がある場合、不安感、不眠、精神異常などのさまざまな精神症状が現れます。  

      

3.
心は舌に開竅し、その華は面にある(しんはしたにかいきょうし、そのはなはめんにある)→ 顔や舌は豊富な血管が分布しており、心の状態を良く表します。