『膀胱炎』

(筆者:柳父 憲子)

 今年はいつもより暖かい冬で、過ごし易いですが、少しずつ寒くなってきました。 冷え症の女性には辛い季節です。 この時期に相談で多くなるのが、膀胱炎です。

 
 膀胱炎は 尿道から大腸菌などの細菌が侵入して起こる病気ですが、 尿道と肛門が女性の方が男性に比べて近いため罹りやすい病気です。 健康な人では 細菌が侵入しても 体のバリアである免疫が働くため膀胱炎にはかかりにくいのですが、免疫が落ちてくるとかかりやすくなります。

 膀胱炎の症状は 主には、頻尿(トイレが近い)、残尿感(お手洗いに行ったすぐ後でもすぐ行きたい気がする。)と言う症状が出てきます。これは膀胱内の炎症により刺激を受けるためでてきますが、これがひどくなると 出血(血尿)排尿時に痛みを伴ってきます。
中医薬では これらの症状を抑えていく薬と、膀胱炎になりにくくする体質改善のものがあります。
症状がある時によく使われるのは、 “瀉火利湿顆粒(しゃかりしつかりゅう)” や “猪苓湯” これらを服用しながら菌を早く外に出すために、水分もしっかり取るよう心がけ、トイレを我慢しすぎないようにします。

  
 また “スベリヒユ”は抗菌作用、利尿作用があるので併用すると相乗効果があります。
出血している時は “田七人参三七人参・金不換ともいいます。)”が、止血と痛み止め双方に使われます。

 疲れやすい方、ストレスが多く、冷えやすい方は膀胱炎を繰り返しやすくなります。何度も繰り返すため人との旅行や外出がしづらい方には体質改善を お勧めします。 これらの症状はどれも免疫が下がりやすくなりますので、 免疫力を付けるためにも症状に応じて 薬を使い分けていきます。

例えば、
普段から冷え症で生理不順もある方、又、膀胱炎の時の貧血にも “婦宝当帰膠” 
さらに冷えが強く 疲れやすく、足腰の痛みがあり、頻尿気味の方は “八味地黄丸”
胃腸が弱く、疲れやすい、冷え性、顔色が悪い方は “参馬補腎丸” “双料参茸丸”
精神不安があり疲れやすく、冷え症の方 “加味逍遥散”等があります。

 

 

 又、ストレスが多くよる眠りが浅い、または眠れない方には “エゾウコギ” もお勧めです。

 日頃から 規則正しい食生活で、温かいものを食べるようにし、 睡眠をしっかり取り、トイレを我慢しすぎないように心がけてください。又、冷えやすい環境にある方は、防寒対策をしっかりしましょう。