胃腸のトラブル

 

執筆者:同仁堂薬局 柳父憲子

 胃腸の働きが弱く、食事をしても胃がもたれる。胃が痛む。おなかを下す。食べたものがいつまでたってもお腹にある。おなかが張ってガスが出やすい。 又、若い時、胃腸は問題なかったのに年々このような症状が出てくる。このように胃腸の不快な症状を訴える方が増えています。

 特に夏は胃の働きが悪くなる季節です。それは、夏は暑くビールや冷えた麺類、アイスクリーム、かき氷など冷たい食べ物がおいしく感じ、食べる機会が多くなるからです。普通 胃の温度は38℃位ですが、冷たいものを摂取すると胃の温度が下がり、働・ォが悪くなります。 そうすると温度が上がるまで消化しないので食べ物が胃に停滞します。これが1日、2日だけでなく毎日のように続いてしまうと“食滞(しょくたい)”という状態になり、慢性的に働きが悪くなります。

 又、日本は海に囲まれており夏は湿度がとても高くなります。そうすると体全体にも湿気を含みやすくなります。中医学では食べ物の消化吸収は、“脾(ひ)胃”と深く関係があるとされます。(脾とは現代医学の脾臓の事ではなく消化吸収・栄養代謝・体液調節などの胃腸の機能全般をさす臓腑です。簡単中医学口座“”参照)

 “胃は潤を好み燥をきらい、脾は燥を好み湿をきらう”

 胃は潤って食べ物を消化していきますが、脾は栄養などの運搬が阻害され、機能が低下すると痰湿(たんしつ)を生じやすいので湿をきらいます。

健胃顆粒・・・・・胃腸を元気にし、栄養の吸収を助け、水はけをよくする六君子湯をベースに作られています。  気の巡りを良くし、湿邪を取り除く生薬が加えられているため、疲れやすく食後に胃がもたれやすい方、食欲があまりない方、胃が痛い方に使います。(人参よりもやさしい党参を使用しており人参だと強すぎる方にも使いやすくなっています。)慢性的な胃腸の症状にもよく使います。

 

勝湿顆粒・・・・・食欲がなく腹痛があり水溶性の下痢の時に使います。長期的な下痢だけでなく、水あたり・食あたりなどにも藿香[カッコウ]・厚朴[コウボク]・蘇葉[ソヨウ・nに天然の解毒作用があるので使います。胃腸の働きが悪くなると、水分の吸収・排泄障害が起こりますがそれを整えて行きます。無理に止めるのではないので細菌性の下痢でも使えます。水質の良くない地方への旅行に携帯するのもおすすめです。

 

健脾散・・・・・四君子湯ベースに(こちらは人参を使用)水分代謝を良くするものが入っています。慢性的にお腹が下りやすく、体力がなく疲れやすい方に使います。水の代謝だけでなく少し引き締めていく蓮肉[レンニク]が入っています。

 

温胆湯・・・・・湿熱(簡単中医学の中の湿邪と火邪参照)という体の中の余分な熱化した水分を取り除きます。(お酒やコーヒーを飲みすぎてもなることがあります。)又、精神をリラックスさせる酸棗仁[サンソウニン]が入っているので眠りが浅い方もおすすめです。

夏に冷たいものを摂取しすぎると胃腸の機能が低下し食物から栄養が吸収できなくなるので秋になるころから体がだるく、疲れやすくなる方が増えます。そうならないようにも夏の間にしっかり胃腸を守りましょう。